矛盾を笑えない奴は、創作者を名乗るな
「昨日、去年亡くなったジョンという犬と、明後日にドッグランに行く予約をするため、高速道路を走らせて現地予約をしに行った」
この一文を読んで「意味不明」と切り捨てたなら──悪いが、お前はAIと同レベルだ。
なぜなら人間にしかできないことは、矛盾を矛盾のまま抱えて物語に変える力だからだ。
- 命日にドッグランを訪れる儀式かもしれない。
- 新しい犬に“ジョン”の名を継がせたのかもしれない。
- 夢の中、あるいは心の奥で、まだジョンは生きているのかもしれない。
こうやって想像を広げられるのが人間だ。
AIのように「矛盾はノイズ」として消去するのではなく、むしろそこから遊ぶ。
これを楽しめないなら、創作者を気取る資格などない。
AIは矛盾を“殺す機械”
AIに同じ一文を与えてみろ。
きっと「去年亡くなった」という肝心な情報を削って、元気に走る犬を描くだろう。
あるいはスマホ画面の中に「去年亡くなった」と文字だけ押し込めて済ませる。
そう、AIは矛盾を描けない臆病者だ。
整合性に合わせて“都合よく”情報を削る。
その瞬間、物語の毒も笑いも吹き飛び、ただの無害な出力になる。
整っただけの物語に、誰が震える?
魂のない演算結果など、退屈以外の何物でもない。
人間は矛盾を物語に昇華できる
一方で人間はどうだ?
「朝起きたら、昨日のはずの明日が終わっていた」と書かれていたら、俺たちは混乱しつつも物語を探し始める。
- これは時空の崩壊の話か?
- 狂気に飲まれた主人公の視点なのか?
- 夢の中のメタファーなのか?
矛盾を「穴」とは見なさない。
むしろそこから意味を発掘し、物語を立ち上げる。
それがAIには決してできない芸当だ。
悪魔の代弁者が突きつける問い
――俺は悪魔の代弁者
ここで断言しよう。
「AIには魂がない」と叫ぶ前に、お前は矛盾に魂を吹き込めるのか?
整合性が崩れた文章を前にして、物語を掘り起こせるのか?
それができないなら──お前はただの“AI未満”だ。
AIを怖がる必要なんてない。
本当に恐れるべきは、人間が自分の想像力を放棄して、AIと同じく矛盾を切り捨て始めることだ。
矛盾を抱けるか、それとも逃げるか
創作の歴史は矛盾と不条理に満ちている。
- 夢オチで現実を裏切る物語
- 死者が語り手を務める小説
- 時間が逆流する映画
どれもAIなら「破綻」として修正してしまうだろう。
だが、人間はそれを矛盾のまま差し出し、観客に考えさせる。
その混乱こそが物語を動かす。
矛盾を削除して整えた物語は、ただの退屈だ。
矛盾を抱えたまま提示する勇気こそ、人間の創作の武器だ。
盾と矛を笑って受け入れるのが人間だ
AIは矛盾を殺す。
破綻をノイズとして排除し、整合性だけを優先する。
だが、それは創作に必要な毒も熱も同時に削ぎ落とす行為だ。
人間は矛盾を笑い、矛盾を抱き、矛盾から物語を立ち上げる。
それこそがAIには絶対にできない芸当であり、“創作に魂がある”と言える唯一の理由だ。
だからこそ俺は言う。
矛盾を抱けない創作者は、創作者を名乗るな。
お前らが切り捨てた矛盾の中で、俺たちは物語を語り続ける。
――悪魔の代弁者より。
シリーズ目次:意味の外側で語る──AI創作編


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