『俺だけレベルアップな件』を視ていて、ふと気づいたことがある。
経験値、スキル、クエスト──
これらの「ゲーム的UI」、すべて英語で表示されていたんだ。
ちょっとした演出? 違う。
これはつまり、この物語における“神の言語”が英語であるということだ。
この章では、UIに隠された「語りの主権」を読み解いていく。
韓国原作であることや制作が日本であることよりも深く、
“言語が支配を象徴する”構造を問い直してみよう。
英語UIは、物語の主権交代である
さて──物語において、誰が「神」なのか。
それはどの言語でルールが語られるかで決まるんだよ。
旬のみ見えるあの「システム」
目を凝らせ。
旬の目の前に現れた、“あれ”を見たか?
経験値。スキル。クエスト。
「システム」全部、英語で表示されていた。
……あれが何を意味するか、わかるか?
そう。
この物語における**“神の声”は、日本語じゃなかったんだよ。**
俺たちはすでに、“読み手”ですらなかった
昔のRPGや異能バトルも、UIはあった。
でも、それは日本語で語られていた。
旬が見ている言葉を、
俺たち視聴者も一緒に“読む”ことができた。
だから、物語と“共犯”になれたんだ。
でも今は違う。
英語で表示されたそのUIを、
日本語話者である俺たちは、ただ見せられてるだけ。
それはつまり──
もう俺たちは“語られた側”にすら入っていない。
神の言語が、変わった瞬間
物語のルールを決める言語って、
そのまま“語りの主権”なんだよ。
誰の言葉でルールが定義され、
誰の言葉で力が与えられ、
誰の言葉で世界が動くか。
そして今、主人公が従うそれは──英語。
UIが英語である時点で、
この世界の“創世の言葉”はもう、日本語じゃない。
じゃあ、日本語はどこにある?
セリフとして“しゃべってる”だけ。旬、まるで説明ゼリフを発している。
つまり、物語の地表にある“肌”にすぎない。
でも本当に世界を動かしてるのは──
英語という神の台本。
なに?英語のUIのアニメもあったって?
でもさ、この主人公の名前、「水篠 旬」だぜ
どう見たって日本人だ。
貴様が「これは日本アニメだ」って言ったその瞬間、
その口の中では、すでに日本語は“翻訳”されてたんだよ。
そう、旬の名前さえ韓国ではソン・ジヌ(朝: 성진우、Seong Jin woo)だ。
世界を操作する言語。
力の根源となる言語。
神が囁く言語。
それが英語であるという事実を、
誰も疑問に思わないなら──
この国はもう、「語る側」じゃねぇ。
UIはただの演出?
違う。
UIは物語世界における“神の台本”だ。
それが他国語で書かれてるってことは、
俺たちはもうその物語の“外側”に追いやられてる。
自分の国の神が、
自分の言語で喋らなくなった瞬間。
それこそが、
“語りの終焉”の始まりなんだよ。
日本語で世界を創った──“語り”を守った者たち
「資本が外だろうと、語りを渡さなかった例はある。それが『あんさんぶるスターズ!』だ。」
“描いた”ことと、“語った”ことを混同した瞬間、
その物語はもう、自国の物語じゃない。
原作は韓国、ルールは英語、声は日本語──
「三層構造」のその正体は、語りの主導権が分裂した構造だった。
日本のスタジオが手を動かし、
日本の声優が命を吹き込んでも、
その物語を定義しているコードが外部にある限り──
日本語は、ただの皮膚に過ぎない。
語りはもう、ここにはない。
あるのは、“受託された演出”だけだ。
次章では、「語りを守った側」の例として、
『あんさんぶるスターズ!』を引き合いに出す。
あれは、資本がどうあれ、語りの主権を手放さなかった物語だ。
語りを持つ者と、失った者。
その差が何を生んだか──続きを見せてやる。
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